友達の輪717号(2026年8月2日発行)
cimai(シマイ)
真紀子さん 有紀子さん 姉妹へ
【本紙】 姉妹で経営されているそうですね。元々パンのお仕事をされていたのですか?
【有紀子(妹)】(敬称略) 2000年前後にあったカフェブームの時に姉と二人でカフェ巡りに夢中になりました。特に栃木県黒磯市(現在合併して那須塩原市)の「CAFE SHOZO」が持つ空間の空気感に強い衝撃を受けました。この時以来「自分たちも何か形にしたい」という思いを共有するようになりました。これが後の店舗づくりの原点となりました。
【真紀子(姉)】(敬称略) 開業前、妹は絵を学びつつベーカリーカフェでアルバイトをし、私は別のパン屋さんでパンを焼くなど、それぞれが異なる形で「表現」や「食」に関わっていました。妹は絵画からより日常的なパン作りへと表現の場を移したようです。
【本紙】 二人で作ろうという夢が生まれたのですね?
フードユニット「cimai」
【有紀子】 2005年ごろ友人たちと休日に行っていた「1日限定カフェ」の活動がありました。私がパンを焼き、友人がお菓子を作り、もう一人は絵を販売しました。姉も表現したい思いで、二人で姉妹でのフードユニット「cimai」が誕生しました。日本語の「しまい」をロゴ風にアレンジした「cimai」という名前ですが、わかる人にだけわかればよいという遊び心も込めています。
【真紀子】 「cimai」として恵比寿の雑貨店にて1日イベント販売(1日パン屋さん)でパンの販売を皮切りに、手紙社主催の「もみじ市」などのイベントにも定期的に出店しました。イベントの規模拡大とともに「イベントでしか買えないパン屋」として知名度が飛躍的に向上しました。
【有紀子】 その後、茨城県結城市のカフェ「Café la famille」さんで週一回のパン販売も開始しました。それまでは勤務先のオーブンを使わせていただいたりしたのですが、イベント出店のために思い切って自宅にタンスくらいある大きな業務用オーブンを買ったのです。これが自分たちの店舗を持つ決意とブランドとしての本格的なスタートとなった気がします。
【本紙】 幸手で開業することになったのは?
テナント募集の張り紙
【有紀子】 自宅から勤務先に向かう通勤路で気になっていた物件がありました。ある日「テナント募集」の張り紙を発見し、問い合わせると家賃が希望額と一致したので運命を感じました。しかし、貯金がゼロでしたので、姉が持つ200万円を自己資金として提示し、これまでの実績を資料として提示することで国民金融公庫から開業資金の融資を受ける事が出来ました。
【真紀子】 さらに心配する母から支援もあり後押しになりました。失敗しても片方が働けばよいという二人体制の強みと、「今やらなければ」という強い意志で開業に踏み切りました。
【有紀子】 開業準備中、「自給自足」という雑誌に「cimaiが出来るまで」が誌面で2回掲載され、さらにWEB連載が決まり、店内に塗る塗料が無償提供されたり、姉が勤めていたルヴァンというパン屋さんが一店閉めるというのでそこの厨房機器などを格安で譲ってもらえたり、多くの幸運にも恵まれました。
【本紙】 運も味方する順調なオープンですね。
家具がない!
【有紀子】 2008年7月7日のオープンを予定していましたが仏滅のため翌8日に変更しました。ところが、手作りで内装に注力するあまり家具がないことに直前で気づき、近所の友人のお店から家具を借りて、のちにふじみ野市で土日しかやっていない骨董を扱うカフェに「販売している家具をうちでも売るから貸してもらえませんか?」「借りつつ販売する」という委託モデルを提案したのです。無茶な話でしたが快く承諾していただき、私たちは手数料一切なしで店側は家具を什器として使用し、売れたら補充するという形で、店内は常に変化する空間が生まれました。ですから、しばらくは家具にも値札がついていました。家具が売れるとそのスペースが空いてしまいますので、また向こうから必要な家具を持ってきてという繰り返しでした。
【真紀子】 販売だけでしたが、家具だけでも相当売れました。中にはそれ目的で来てた人もいるくらいでした。私たちも家具があって助かりますし、向こうも家具が売れて助かるという良い循環だったと思っています。パンを売っている台が売れてしまって困ってしまうということもありましたね(笑)。
【本紙】 「表現」としてのお店づくりと「美しさ」へのこだわりがあるようですね。
cimaiの哲学
【有紀子】 店作りは「何もないところから作り出す」表現活動の一環であり、空間全体でお客様に特別な体験と高揚感を提供することを重視しています。かつてはスタッフに「それは美しいか」と問いかけてました。来店から退店までの一連の体験が美しくあるべきだと思っているからです。店内の模様替えが好きで、同じ空間の安心感よりも「違う空間」を提供する喜びを重視しています。古い窓格子や照明もヤフオクで落札するなど低予算で美観を追求し、来店する度に変化を感じられる店作りを続けています。
【真紀子】 cimaiには「どんなものでも捨てない」という理念があります。焦げたパンなども自分たちで食べることで、食材の命や作り手の努力(生産者の努力)を無駄にしないことを徹底しています。
【本紙】 二号店もあるそうですね。
【有紀子】 4年前に10年限定で大宮、氷川参道の二の鳥居のところにお店を出したのです。その近くにある昔の図書館が10年だけ民間に託してテナントを入れるようにしたのです。オープン前に声を掛けていただき、別のスタッフに託して、運営してみるというのもひとつの経験ではないかとも思ったのです。そこでやろうと思ったきっかけは、参道の樹が良かったからです。Bibliという建物の中にkico (樹粉)という名前で営業しています。11:00~17:30で、月、木曜日お休み。月に2回火曜日がお休みで連休になります。詳しくはインスタグラムを見てください。パンの予約や地方発送も受け付けておりますので、営業時間内であればいつでもご連絡ください。
【本紙】 cimaiの姉妹店ですね。では、お友達をご紹介ください。
【有紀子】 趣味で作っていたバイクの革のサドルをインスタグラムにあげていたら全国規模で販売することになった「garakuta works(ガラクタワークス)」の三浦涼さんを紹介します。
【本紙】 ありがとうございました。おいしいパンをこれからもお作り下さい。(中島真紀子さんと三浦有紀子さん姉妹は優秀なスタッフに支えられながら、状況に応じた柔軟な経営判断を持ち、二号店「kico」を出店するなど、新たな挑戦を続けています。大きく羽ばたいてほしいですね。)
cimai 埼玉県幸手市大字幸手2058-120480-44-2576
営業時間11:30〜18:00 定休日 不定期
HP cimai(シマイ) kico(樹粉 きこ)










