友達の輪702号(2025年5月4日発行)
傾聴ボランティア 渡辺 豊子さんへ
【本紙】 地域で文化活動をされているそうですね。
【渡辺】(敬称略) 地域の活動として古い順に申し上げますと、まずはハガキ絵で28年が経ちました。中央公民館でハガキ絵講座に参加し、その後クラブ活動に移行しました。受講生は先生のお手本を見て、描くコツなどを教わりながら模写していきます。28年の中でメンバーは入れ替わりましたが、先生はずっと変わっておりません。ほめて育てる事がとてもお上手です。これ程長く続いている理由としては、ハガキ絵は上手へたは別として、受け取った方が大変喜んでくださるからです。かなり前の話になりますが、長く病床にいらした方が、私の差し上げた手紙を繰り返しご覧になっていたと遺族の方から伺いました。作品は幸手市文化祭に出展したり、友人や親類に贈ったり、自分で飾って楽しんだりしています。メンバーの高齢化は進んでいますが、30周年まで続けたいと皆で話しています。
【本紙】 ボランティア活動をもされているそうですね。
「聞き上手になりませんか?」
【渡辺】 この活動は私の中では一番存在が大きいかなと思っています。今年で19年になりますが、きっかけは広報誌で「聴き方上手になりませんか?」というタイトルで、傾聴ボランティア講座の募集があったことです。この講座は現存する「電話ボランティアの会」のメンバーで、春日部市で傾聴ボランティア活動をされていた方が、幸手市でも傾聴ボランティアの会を立ち上げたいという事で企画されたものです。私自身、ボランティア活動をしようとは考えていませんでしたが、周囲の人の後押しもあり、そこで学んだだけでは忘れてしまうので、続けてみようと思ったのです。
【本紙】 幸手市にはまだなかったのですか?
【渡辺】 ありませんでした。でも、この周辺では早めに作られた方だと思います。最初は12名程で始まりました。
【本紙】 どんな活動をされるのですか?
「楽しかった」の声で
【渡辺】 お話に耳を傾けることです。コロナ前まで私は介護施設に行っていました。そこで約1時間、1対1でお話を聴くことをしていました。介護施設ですから、高齢者、車椅子の方、認知症の方などが圧倒的に多く、職員の方も忙しいので、なかなか入所者の話をゆっくりと聴くのは難しいです。そうした中、1時間ですが集中的にお話を聴くことで、皆さん家族のこと、昔の思い出、苦労したこと、体の様子などを話して下さいます。認知症の方であっても、じっくりと話をうかがっていくと、昔のことを思い出されます。普段あまり長く会話されることが無い為か、「今日はたくさんお話をすることが出来て楽しかった」と言ってくださいます。相手が喜んで下さることで、私も嬉しくなるという素晴らしい時間でした。しかし、コロナ禍の3~4年間程は残念ながら中止になってしまいました。コロナが明けた現在、私は施設ではなく、個人宅を訪問するようになりました。
【本紙】 どこかのお宅にうかがって下さいと連絡が来るのですか?
社協からの要請
【渡辺】 社会福祉協議会を通じて傾聴ボランティアの会に要請が来ます。そこで希望者を募り、訪問してもらいます。一人暮らしの方のお宅が多いですね。私が訪問しているところは、一人暮らしで少し足の不自由な80代の男性宅です。週2回のデイサービス以外は買物に行くくらいで、ほとんど人との対話が無いとのことです。月1回の訪問で1年間続いていますが、楽しみにして下さっているようです。お話内容は特別のことではなく、日常の会話です。男性なので、最初はどんなことをお聴きすれば良いのか分からないところもあり、昔のお仕事の話などをしていけば良いかなと考えていました。しかし、日常の話題を好まれることが感じられましたので、それを心がけています。最近あった社会や身近な出来事、健康、幸手市の変遷、料理など雑多です。こちらが関心を寄せてお聴きすると、話はとぎれなく続きます。話は変わりますが、傾聴ボランティアの魅力は、講座と実践で身につけた事を日常でも生かすことが出来ることです。対人関係では、相手を受け入れる気持ちが増しますし、旅や病院などでも、たまたま隣に座った人と1~2時間話がはずむことも希ではありません。
【本紙】 傾聴ボランティアの方は何人いらっしゃるのですか。常時募集しているのですか?
養成講座開催
【渡辺】 今は会員が19名です。2年ごとに社協で講師をお迎えして養成講座を開催しています。講座自体には人が集まるのですが、そこから会に参加されるのはひと握りです。メンバーの皆さんは志が高くて、施設や個人宅訪問に積極的に取り組んでいます。また自ら常に学ぶという意識を持っていらっしゃいます。中には仕事をしながらこの活動をされている方もいます。数名の傾聴ボランティアのメンバーと別の勉強会を11年前に立ち上げました。最初は話し方教室から始まり、3年後位にセルフカウンセリングの勉強に内容が変わりました。ボランティアで講師が茨城から来て下さり、とても中身の濃い講座です。先生の課題をこなす他、フリートークで本音を語り合える貴重な場です。
【本紙】 自分自身をカウンセリングするということですね。他の活動もありますか?
【渡辺】 現在、時間的に一番比重が大きいものとして、健康体操クラブがあります。これは高齢者向きの体操教室で、参加して9年になります。代表と指導員を兼ねるようになってからは6年です。設立されてから約25年と長い歴史があります。会の当初のモットーは、地域の人々とのコミュニケーションを図ることが主でした。私が指導員になってからは、体操を通じてフレイルを予防する事にも重点を置くようにしています。姿勢、体の動かし方“今、自分がどこの筋肉を使っているかを意識する”など具体的に指示をしています。声をかけると皆さんの表情がひきしまり、熱心に取り組まれます。コミュニケーションの場にもなっており、「ここに毎週来るのが楽しみ」という声も聞かれます。その言葉で、私もより楽しく活動が出来るように頑張ろうという気持ちがわき、会員の皆さんに支えられているのを実感する日々です。
【本紙】 ご趣味などはありますか?
【渡辺】 読書がとても好きです。目標として、毎年120冊以上読むようにしています。新聞やネットなどに載っている本の紹介をメモに取り、図書館で予約し、取り寄せてもらっています。図書館で借りると返却期限がありますから、限られた時間の中で読むという意味では丁度良いのです。読む本のジャンルは広範に渡っていますが、手にした本によって自分の世界が広がるのを感じています。
【本紙】 年間120冊はすごいですね。では、お友達をご紹介ください。
【渡辺】 今年度から傾聴ボランティアの会長を務めてくださる奥貫 恵子さんをご紹介します。
【本紙】 ありがとうございました。益々のご活躍を祈念いたします。(渡辺さんはとても若々しく心身ともに活発な方でした。)